
譲渡企業の方へ
足場工事会社の売却・M&Aガイド
元請、番頭・職長、足場材と置場。現場を続ける条件と売却価格の考え方を、準備する資料から整理します。
売却前に「何を引き継ぎ、何を守るか」を決める
後継者不在、採用難、資材更新の負担など、相談の入口はさまざまです。価格の希望に加え、職人の雇用・処遇、元請との関係、社名や置場、代表者の引退時期を整理します。代表者が担う営業・見積・段取り・職人手配を誰へ渡すかも、候補先と話し合う条件です。
売却を急ぐか、職長育成や収益管理を整えてから進めるか、親族・従業員への承継を検討するか。まず選択肢を比べる段階でもご相談いただけます。
足場工事会社の売却価格は、利益と資産の中身から考える
売上や足場材のトン数だけで価格は決まりません。元請別・現場別の利益が引継ぎ後も続くか、資材や車両にどれだけ更新費用が必要か、借入や未払費用がどこまで残るかを確認します。一律の利益倍率や、売り案件の希望価格を成約相場として当てはめることはできません。
利益は、代表者の代替人員、運搬・外注費、資材の修繕・損耗を踏まえて見直します。受注残も、解体までに残る人工や運搬費、追加借り、請求合意のない追加工事を差し引いて考える必要があります。繁忙期の売上だけでなく、閑散期や資金回収までの負担も判断材料です。
資産は簿価と使用可能な状態を照合し、保有材と借りている材を分けます。企業価値と株主が受け取る金額は同じとは限らず、現預金・借入・譲渡対象・価格調整の扱いをそろえて比較します。同じ債務を重ねて差し引かないよう、評価の前提を確認します。
株式譲渡と事業譲渡で、許可・契約の確認を分ける
株式譲渡では会社が存続し、会社の契約や雇用関係も基本的に続きます。ただし、経営権変更時の通知・同意条項、役員や営業所技術者等の変更に伴う許可要件・届出は別途確認します。職長の退職予定がある場合も、人員要件と現場運営への影響を分けて考えます。
事業譲渡では、資材・契約・債務・雇用などの対象と承継手続きを個別に整理します。建設業許可には事前認可による承継制度がありますが、建設業の全部承継、許可区分、人材等に条件があります。契約締結後の届出だけで済むと考えず、所管行政庁へ早期に確認します。従業員の労働契約承継にも個別の承諾が必要です。
足場等仮設工事は「とび・土工工事業」の確認が中心です。施工内容と必要な許可を照合してください。制度の根拠:国交省の業種区分/事業承継等の事前認可制度。
相談前にそろえたい資料と確認事項
すべてが完成している必要はありません。分かる範囲をまとめ、不足資料と確認する担当者を決めるところから始めます。表は横にスクロールできます。
| 項目 | 準備する資料 | 引継ぎ前に確かめること |
|---|---|---|
| 元請・受注 | 元請別売上、単価表、基本契約、注文書、工事台帳 | 一式・㎡単価・材工などの条件、支払サイト、確定受注と見積中、追加工事の合意、取引継続条件 |
| 許可・人材 | 許可通知、届出控え、資格・教育記録、作業員名簿・職務一覧 | 営業所技術者等、現場技術者、足場作業主任者、職長の役割と要件を区別し、退職時の代替を確認 |
| 労務・協力班 | 雇用契約、勤怠・給与、社会保険、協力会社・一人親方との契約 | 処遇・継続意向と実際の指揮命令を確認。「常用」「人工出し」等の呼称だけで契約の適否を決めない |
| 安全・事故 | 施工体制台帳・再下請通知等の該当書類、点検・是正記録、労災・賠償保険、事故資料 | 点検者と記録、未解決の事故・請求、再発防止、必要な教育。CCUSの利用・登録状況も整理 |
| 項目 | 準備する資料 | 引継ぎ前に確かめること |
|---|---|---|
| 足場材 | くさび・枠組・単管・次世代・先行手すり等の部材台帳、棚卸、購入・借受明細 | 保有・リース・預りを区分。置場・現場・貸出先ごとの数量、損傷・欠損、修理・除却予定を照合 |
| 車両・リース | 車両・機械台帳、ローン残高、リース契約、返却条件 | 所有権、残債、継続使用や変更の同意、更新費用。運搬の内製・外注と必要台数を確認 |
| 資材置場 | 登記情報または賃貸借契約、費用明細、配置図 | 会社・代表者個人の名義、更新・承諾・原状回復条件、積込・戻り材の動線、移転時の負担 |
| 現場別収益・資金 | 決算書・直近試算表、未成工事、前受金・未収金、借入一覧 | 解体までの残り原価、請求漏れ・滞留債権、運転資金、代表者保証の解除条件と完了確認 |
資格証の保有だけで安全体制全体を判断しません。作業主任者の選任、特別教育、職長教育等は対象業務と要件が異なります。労働局の資格・教育案内も確認してください。

相談から引継ぎまでの6段階
- 希望と秘密保持を確認。価格、雇用、代表者の関与期間、開示範囲を整理。初期の候補探索では社名を伏せた概要を用います。
- 現状と譲渡対象を整理。2つの準備表で強みと不足を確認し、株式・事業譲渡、許可手続き、資金の前提を検討します。
- 候補先の条件を比較。価格のほか、元請対応、職長の処遇、資材投資、置場、経営方針を同じ項目で比べます。
- 基本合意・詳細調査。守秘義務と開示範囲を確認して資料・現場を調査。未解決事項の担当、費用負担、対応期限を決めます。
- 契約と実行条件を確認。許認可、必要な契約・雇用の同意、金融機関と調整する保証解除、代金決済の条件を確認します。
- 現場で引継ぎを確認。元請挨拶、見積・班編成・配車、点検、追加請求、戻り材管理を移します。「次の案件を誰が単独で回せるか」まで確認します。
足場工事会社の売却でよくある質問
許可があれば、そのまま買い手に引き継げますか?
譲渡方法と許可・人材の条件によります。株式譲渡では会社の存続と変更届等を確認し、事業譲渡では事前認可制度の対象・要件を確認します。施工を止めないため、所管行政庁への確認を契約後まで待たないことが大切です。
リース材や借入が多くても相談できますか?
相談できます。保有割合だけで判断せず、必要な資材を使い続けられるか、リース料・返却条件・残債と利益の釣り合いを確認します。買い手との合意だけでリース契約や代表者保証が変更・解除されるとは限りません。
番頭・職長や協力班を残せますか?
雇用や処遇の希望を候補先と調整しますが、本人や協力会社の継続を保証することはできません。役割、意向、契約条件を確認し、必要な説明・同意の時期を決めます。事業譲渡で雇用を承継する場合は、従業員ごとの承諾が必要です。
赤字や過去の事故がある会社も対象になりますか?
まず状況を整理して検討します。赤字の要因と回復の見込み、事故の対応・保険・是正状況、未解決の請求などが判断材料です。不利な情報も確認できる形にまとめ、候補先へ開示する内容と時期を相談します。
譲渡企業様の手数料0円には何が含まれますか?
当センターの譲渡企業様向け着手金・中間金・成功報酬は0円です。税金、登記、許認可手続き、外部専門家等の費用まで無料になるという意味ではありません。発生する費用と負担者を契約前に確認します。買い手企業様の条件は別途ご案内します。
制度・確認資料
制度と実際の契約を照合し、個別の許可・労務・税務は所管窓口や専門家へ確認します。
会社名を出さずに、まず相談できます。
後継者、職長体制、資材更新、引退時期。まとまっていない段階から、売却に向けた確認事項を整理します。
